Index: [Article Count Order] [Thread]

Date:  Sat, 9 Feb 2002 17:31:56 +0900
From:  "Akito Enokuchi" <enochiki@spn1.speednet.ne.jp>
Subject:  [tenmon11:524] ちょっと質問が
To:  tenmon11@gfd00.ms.u-tokyo.ac.jp (tenmon11 ML)
Message-Id:  <4.3.2-J.20020209160431.00ae4ba0@spn1.speednet.ne.jp>
Posted:  Sat, 09 Feb 2002 17:29:22 +0900
X-Mail-Count: 00524

江野口です。
このMLにメールを流すのはかなり久しぶりです。

さて、直焦撮影に関する疑問があります。一言で言えば、

 直焦撮影において、光軸のずれた屈折式望遠鏡と反射式望遠鏡で
 精度の低下が大きいのはどちらか?

といものです。反射式であろうとは予想がつくのですが、
上の質問には次のような背景があります。

-------------------------------------------
 撮影者は地球周回低軌道(高度300km)上の人工衛星です。
 こいつが屈折「望遠鏡」を使って直焦撮影しようと思います。
 望遠鏡といっても鏡筒らしいものはなく、レンズ枠を支持する超弾性
 素材3本が光軸方向に延び、この軸部材の形を補強する輪っか
 (フレーム)がいくつかはまっています。
 (アサガオのつるが巻きつくように鉢植えに据えるようなものです。イメージとし 
ては。)

 被写体は「地球あるいはその一部」で、「何か写れば良い」とします。
 つまり、ピントが合ったものであれば陸地だろうが雲だろうがOKです。
 撮像素子はフィルムではなくCCDかCMOS素子です(露光時間は調節できますが、
 たぶん非常に短くて済むと思います。昼の地球表面は明るいですから)。
 レンズが作った像が衛星内部(もしくは外板)に置かれた
 素子で焦点を結ぶというstoryになっています。
 さて、ここで光軸のずれが生じることは明らかです。
 レンズは衛星から離れたところにありますから、ゆらゆらと揺れています。
 空気がないので粘性減衰がほとんどないためです。
 むしろ、光軸が合うことはないと言った方が正確でしょう。
  
 屈折式を採用する場合:
  光軸のずれに対する許容性は大きいかもしれないが、同じ焦点距離を稼ぐには
  反射式より遠くにレンズをおく必要がある。支持部が長いということはそれだけ
  光軸のずれは大きい。

 反射式(例えば、カセグレン式)を採用する場合:
  同じ光路長を確保するのに光学系をコンパクトにできる。支持部が短いということは
  光軸のずれが小さいということである。また、鏡の方がレンズより軽い気がする 
(場合によるが)。
-------------------------------------------
話がややこしくなってしまいました。
 
反射式望遠鏡で直焦撮影(被写体は月など露光時間が短いもの)をやったとき、
撮影した写真がピンぼけしたりとうまくいかなかった経験のある方がいれば話は早い 
のですが、
そうでない方も、「こうなんちゃうの?」というご意見、アドバイスなどありましたら
教えてくださればこれ幸いです。

そもそも「なぜ宇宙から地球を取るのか」ということですが、これは次のような 
storyになっています。

--------------------------------------------
学科にある中須賀研究室で学生による衛星プロジェクトが進んでおり、
来年打ち上げるCube2(15cm立方)のミッションの一つに「地球の写真を撮る」ことが 
あります。
なぜ地球かというと、星の写真を撮るよりも光学系に要求される性能が低くて済むこ 
ともありますが、
レンズを衛星本体から話して支持した場合に、そのレンズは自発的に地球の方を向く 
ようにトルクがかかることが
挙げられます。万有引力を利用した受動的な姿勢制御です。

しかし、倍率を上げるには長い焦点距離が必要になるため(具体的な倍率は聞いてい 
ませんが1m弱
の焦点距離が必要)、空気のないところでそんなに長い支持部の運動が減衰してくれ 
るのかという問題が。
そこで、反射式望遠鏡的に、衛星に主鏡を、衛星から離して副鏡を取り付ければ、例 
えばカセグレン式
の場合に支持部の長さは半分以下になるのではと(ミーティングにもぐって(?)) 
提案したところ、
「それ、作れる?」という話に相成りました。
--------------------------------------------

というわけです。中須賀研のHPは
http://www.space.t.u-tokyo.ac.jp/
です。過去の衛星の構造や電源系など詳しくのっていて面白いと思います。

研究室の先輩方は反射式はまったく眼中になかったようで「レンズを安定保持するには
どのような構造が望ましいか」を考えていたようです。「レンズならずれても何か映 
るでしょ」といわれると、
「確かに。」と思ってしまうのですが、軽量化、コンパクトを目指すなら反射式を実 
験的に作ってみるのも
無駄ではないような気がしたので、今は反射鏡(主鏡、副鏡ともに)、レンズ(プラ 
スチック)を一般に作って
もらえるところをResearchしています。
これについても何か情報をお持ちでしたら教えてください。

因みに屈折望遠鏡のレンズ(おそらくガラス製)は研究室が単体で既に購入し、実験 
用に作り始めています。
  (僕はテストとレポートを理由にちょっとお休みです(--;
  「俺のレポート上げるから手伝って」とも言われましたが、、 )

とりあえず軸方向、左右方向でのずれがどれくらい許容されるか調べます。
12日にミーティングがあるのでその後またこのMLに流すかもしれません。

*******************************
東京大学工学部航空宇宙工学科3年
江野口 章人 ( Enokuchi Akito )
enochiki@spn1.speednet.ne.jp
*******************************